平成29年 第1回定例会代表質問( 2月 23日)

 

 下記は質問の全内容↓

 

  ○(筒井たかひさ議員) 

質問に先立ちまして、去る1月23日にご逝去されました、梅沢五十六議員のご冥福を心からお祈りいたします。梅沢議員には6期23年余りの長きにわたって、葛飾区の発展に多大なご尽力をいただきました。また我々後輩議員に対しても、心のこもったご指導をいただきました。ここに生前のご苦労とご恩に深く感謝申し上げますとともに、会派を代表して謹んで哀悼の意をささげます。

 それでは、自由民主党議員団を代表して、さきの通告に従い、代表質問をさせていただきます。

 初めに、平成29年度当初予算案及び今後の財政運営について質問いたします。今定例会に上程されました当初予算案は、一般会計が1,906億1,000万円となっており、前年度と比べて、金額で104億9,000万円、率にして5.8%の増となっております。これは、平成28年度を上回る最大の予算規模となるものであります。

 我が国の経済状況は、景気は緩やかな回復基調が続いておりますが、海外経済の下振れリスクや不確実性に留意すべき状況であります。また、平成29年度の東京都の予算発表では、一般会計の予算規模が、前年度に比べ0.8%減となる6兆9,540億円で、5年ぶりの減であると聞いております。都税では、税収の高い割合を占める法人住民税及び法人事業税の減収から、前年度に比べ2.3%減の5兆911億円を見込み、6年ぶりの減になるとのことであります。

 こうした状況の中で、本区の平成29年度予算は、昨年度に引き続き、納税義務者の増による特別区民税の増収や、財政調整交付金の増などを見込むとともに、公共施設整備やまちづくり、教育施設の整備事業に対しては、適時適切な基金の繰り入れや区債の発行などがなされたものと考えており、中期実施計画の2年目を迎え、時代の要請に応える積極的な予算編成となったことを強く感じております。

 このようにあらかじめ積み立てた基金の活用や、区債による財源対策によって、将来世代との負担の平準化を図り、財源の不足を生じさせることなく、積極的な予算編成となったことについては、区民にとって、今必要な施策を見きわめ実行していく姿勢のあらわれであると感じております。

 平成29年度予算は、これまでの事業の進捗状況を踏まえ、葛飾区総合戦略に掲げた、街づくりの推進による本区の利便性の向上、子育て環境の充実によるファミリー層の定住促進と出生者数の増加、区内産業の活性化や地方都市との連携による本区の魅力の向上のための事業を中心に、夢と誇りあるふるさと葛飾を実現するための予算であると評価しております。  平成29年度当初予算案には、待機児童対策として、待機児童緊急対策事業、保育人材確保支援事業を初め、マタニティパスの導入など、青木区長が最重要課題としている子育て支援の充実にかかわる予算が、効果的・効率的に計上されたものと評価しております。

 また、まちづくりにおいて、金町六丁目駅前地区再開発や、立石・四つ木の連続立体交差事業の工事が本格的に始まることに加え、平成29年度は、公共交通網の構築に向けた検討調査に着手するとしており、区内のバス路線網のさらなる充実や、新金貨物線の旅客化の検討など、これからの葛飾区が目指すべき公共交通網の構築に向けた取り組みが大きく前進することを期待するものであります。

 さらに、観光事業においては、おいでよ亀有やライティング・コラボレーションかなまちなど、新たな観光資源の創出によって、本区の魅力の向上につながるものと考えます。こうした施策の推進によって、本区の人口ビジョンが目指すファミリー層の定住など、人口増へのさらなる牽引力となることを期待するものであります。

 さて、本区は、これらの重要施策を進める一方で、400を超える公共施設の維持保全、更新を精力的に進めているところであります。

 1月の総務委員会で報告されました葛飾区公共施設等経営基本方針素案では、これからの公共施設の効果的・効率的活用を実現するためには、施設のマネジメントサイクルを確立し、今後の最適な施設のあり方を見出していく必要がある、という施設経営の基本方針が示されました。

 既に、公共施設の計画的・予防的な修繕を推進し、長寿命化を図るに当たっては、平成28年度を初年度とする葛飾区区有建築物保全工事計画が策定され、これに基づく保全工事なども実施されております。

 この計画を実効性のあるものとするには、当面の10年間は、長寿命化や安全性などを踏まえ緊急性の高い未改修部分を優先的に解消しなければならず、その経費は200億円を超えるとのことであります。昨年の第1回定例会においても、財政基盤の確立の必要性について、お話をさせていただきましたが、その未改修部分を優先的に工事するための財源確保を計画的に行うことは言うまでもなく、その後の本来あるべき計画的・予防的修繕へ順次移行させていくためにも財源の確保が不可欠であります。  さらに今後は、道路や橋梁といった社会資本の更新に対しても財源の確保をすべきであり、学校を含めた公共施設の維持保全とともに、経営基本方針に沿って、最適な個別計画を順次策定し、長寿命化や施設の更新を図っていく必要があります。

 平成28年度第4次補正予算では、昨年度に引き続き公共施設建設基金へ、そして教育施設整備積立基金、加えて、まちづくり基金へも積み立てが行われる予定であることは、未改修部分の工事や、社会資本の更新需要に備えた取り組みであると評価しております。  また、昨年の定例会で申し上げたとおり、平成29年度当初予算では、これまでの教育施設整備積立基金だけではなく、公共施設建設基金やまちづくり基金にも積み立てを計上したことは大いに評価をいたします。

 しかし、この当初予算におけるそれぞれの基金への積み立ては、年度内に必要な積立額の全額とはなっていないため、年間を通じて財源を確保し、順次積み立てるべきと考えます。さらに、これらの基金は今後の重要な財源であることから、今後は最終補正予算を待って積み立てを進めるのではなく、例えば繰越金が明らかになる時期などに、基金の積み増しを積極的に判断していくことも必要だと考えます。

 次に、用地取得に関して申し上げます。

 これまで土地開発公社で取得していました密集住宅市街地整備促進事業用地を、市街地整備用地取得基金によって取得することとして、第4次補正予算で同基金へ積み増しを行うとのご提案を聞いております。また、このたび所有者からの売却の申し出があった高砂の自転車保管所や、新宿の児童遊園用地について、一般会計で直接取得するというお話も聞きました。

 このように一般会計での取得や同基金の活用など、用地取得方法を見直すことにより、公社借入金による利息の負担軽減を図る取り組みについてを高く評価したいと思います。

 今後も、用地買収については、目的に応じた取得方法をうまく使い分けて、最適な運用を進めていただきたいと思います。  このように平成29年度の当初予算編成は、さまざまな工夫を凝らし、夢と誇りあるふるさと葛飾の実現に向けて着実な歩みを進めていると感じております。

 そこでお伺いいたします。

 1、東京都が前年度に比べ0.8%減のマイナス予算を発表する中で、本区の平成29年度の予算は、一般会計が5.8%増となる過去最大の予算となっています。このような伸びとなった要因はどこにあるのか、区の見解をお示しください。

 2、葛飾区区有建築物保全工事計画が策定されましたが、これを実効性ある計画とするため、まずは、未改修部分の費用とその財源確保はどのような見通しなのか。また、その後の計画的・予防的修繕の費用とその財源確保についてお示しください。

 3、葛飾区公共施設等経営基本方針素案を踏まえ、公共施設建設基金、まちづくり基金及び教育施設整備積立基金の積み立てと活用について、平成28年度第4次補正予算と平成29年度当初予算における区の考えをお示しください。

 4、平成29年度当初予算に一定額を計上したそれぞれの基金のこれからの積み立ての見通しについてお示しください。

 5、土地開発公社の借入金による利息の軽減は、どのような見通しになるのか。また、今後の用地取得の方法について、区の考えをお示しください。  次に、公共施設等経営基本方針についてお伺いします。

 ただいま申し上げましたとおり、公共施設の予防保全、長寿命化のための財源確保については着実に推進することを期待いたします。

 一方で、施設の効果的・効率的な活用を実現していくためには、これまで以上の精力的な取り組みが必要になると考えております。

 国は、平成26年に、過去に建設された公共施設等がこれから大量に更新時期を迎える一方で、地方公共団体の財政は依然として厳しい状況にあり、さらに人口減少などにより今後の公共施設等の利用需要が変化していくことなどを踏まえ、公共施設等の全体を把握し、長期的な視点を持って、更新、統廃合、長寿命化などを計画的に行うことにより、財政負担を軽減・平準化するとともに、公共施設等の最適な配置を実現することが必要であるとして、全ての地方自治体に対し、速やかに公共施設等の総合的かつ計画的な管理を推進するための計画、すなわち公共施設等総合管理計画の策定に取り組まれるよう要請しています。

 この公共施設等総合管理計画の策定に当たっては、保有する全ての公共施設等の現状や課題を客観的に把握・分析することとし、適正管理に関する考え方、全庁的な取り組み体制の構築、施設類型ごとの基本方針、公共施設等の実態把握及び計画の策定・見直し、議会や住民との情報共有などを盛り込むことを求めております。昨年10月の総務省の発表によれば、全ての都道府県、政令指定都市、区市町村がこれを定めることとしており、本年度末までに、99.6%の自治体がその策定を完了するとされております。

 これを踏まえて、本区においてもこの計画の策定が進められ、さきの総務委員会で公共施設等経営基本方針素案が報告されたところであります。この経営基本方針の中で、ハード・ソフト両面にわたり、マネジメントサイクルの確立を目指すことを今後の公共施設等の管理の目指すべき姿であるとしております。日々の点検を通して、施設における事業やサービスのあり方、施設の使われ方、また、施設の老朽度などを常に点検し、適切に維持保全し、場合によっては見直しを図るなど、効果的・効率的な管理、活用を実現するとのことであります。

 今後、点検、分析の根本となる指標が設定され、これに基づき、公共施設の効果的・効率的な活用が推進されるとのことであり、我々としても、その実現を期待しているところであります。

 そもそも全国的に公共施設等総合管理計画が策定される背景は、先ほど申し上げたとおりであり、平たく申し上げれば、既に人口減少社会に突入している状況の中では、昭和40年代、50年代の高度経済成長期に大量に建設してきた公共施設を、今と同じ状態で維持・保全していくことは、財政的に不可能であることを、その基本としているものと認識しております。つまり、公共施設、特に箱物と言われる建築物系公共施設においては、その総量を抑制していくことが求められているのであります。

 しかしながら、この総量抑制という言葉が、あたかも区民サービスが、施設の総量と同様にこれまで以下に低く抑えられるかのような誤解を招いていることが問題であります。ぜひ、区民サービスは、維持ではなく、将来を見据えて、これまで以上に向上させることを前提として、より効果的・効率的な活用の中で、これを実現していただきたいと期待するものであります。

 こうした中で、既に本区においては保健センター機能を見直し、地区センターなどを効果的に活用して、健診などのサービスを展開しております。そして、高砂保健センター跡地には、療育を必要とする児童の顕在化に対応する児童発達センターを建設するなど、時代の要請に合った施設の見直しを推進していることは評価するものであります。

 また、学齢期の子供たちに対する支援として、放課後子ども総合プランを推進し、学校内における学童保育クラブとわくわくチャレンジ広場事業を一体的に運用する一方で、葛飾区版ネウボラ事業を中核として、乳幼児対策、子育て支援策の拡充を図る、子育て拠点施設における新たなサービス展開についても、さきの保健福祉委員会で報告されたところであります。これらの取り組みの象徴的なものとして、新小岩北地域における公共施設の複合化が進んでいることもご承知のとおりであります。

 さて、今後、公共施設等経営基本方針に基づいて、公共施設のマネジメントサイクルの確立を図ることとなりますが、全庁的な取り組み体制の構築、議会や住民との情報共有などを求められていることから、これから設定される指標、また、これに基づく指標と活用の実態の分析結果などをもとに、さまざまな取り組みが行われるものと思います。

 小中学校のように、将来にわたって教育活動が行われる施設については、もちろん長期的な児童・生徒数の展望をもとに、施設の老朽度などを分析して、教育環境の向上を図るための改築や一部改築などが進んでいくものと考えています。

 また、区民利用施設などにおいては、その使われ方をこれまで以上に詳細に分析することが必要であると考えます。例えば、地区センター会議室などにおいては、比較的その利用率は高いと言われていますが、その使われ方の実態はどのようになっているのか、しっかりと点検することを求めたいと思います。地区センターのホールを利用する際に、単なる控え室的に別の部屋を利用していることがあると聞きます。活動のメーンであるホールを利用している間、その別の部屋は控室ですので、誰も使わず、物置になっていることがあるそうです。もちろん、控室も必要だと思いますが、ただでさえ利用率が高い施設の貴重な部屋をこういった状況で使用していることも実態であります。より効率的な使い方、使われ方を工夫することで、より多くの区民に利用されることもできる一例であります。

 このように単に利用率だけを指標とするのではなく、その実態が把握できるような取り組みを求めるものであります。  また、施設の維持管理の観点からは、住宅やオフィスビルの管理に見られるように、日常的な点検と1年、3年、5年、10年点検などの専門的な点検を組み合わせて、予防保全型の維持管理を徹底し、施設の長寿命化を図っていく必要があると考えます。施設管理者による日々の点検と、技術職員や専門事業者による点検が有効に機能してこそ、これまでの事後保全型維持管理から予防保全型維持管理への転換が可能になると考えています。早急に施設維持管理の点検計画の策定を構築していただきたいと要望いたします。

 そこで、お尋ねいたします。

 1、公共施設総合管理計画を全国的に策定することが求められている背景には、人口減少社会の中で、今ある公共施設をそのまま維持・更新することが困難であり、総量抑制をしなければ財政運営が立ち行かない現実があると認識しています。

 総量抑制というとサービスそのものを切り捨てるイメージになってしまいますが、サービスの量と質を維持、向上させながら、施設を効果的に活用することは可能であると考えます。区が目指すマネジメントサイクルの確立によって、個々の施設の効果的・効率的な活用はどのように進んでいくのか、区の基本的な考えをお示しください。

 2、公共施設等経営基本方針では、施設で提供するサービスや事業のあり方(ソフト面)と施設の維持管理(ハード面)の両面から日々点検を行い、点検・検証・改善が常に行われる状態にすることを目的としています。今後の見通しとして、どのような仕組みを構築し、サービスや事業のあり方の点検を実施していくのか、区の見解をお示しください。

 3、施設の維持管理(ハード面)において、予防保全型の管理を徹底していくためには、日常点検と定期点検を組み合わせて、これまで以上にきめ細かく点検をしていく必要があると考えます。今後、ハード面の点検計画などを、どのように構築していくのか、区の見解をお示しください。

 次に、葛飾区の今後の公共交通への取り組みについてお伺いします。

 日本の総人口は、現在、およそ1億2,000万人余りで、2008年をピークに減少傾向が続いております。こうした状況において、総務省が1月に公表した人口移動の報告によると、葛飾区は、転入超過数で都内の9位に位置づけられております。今後の我が国全体の人口減少が叫ばれる中、このような結果が示されたことは、これまでの本区の取り組み、魅力ある葛飾区の実現に向けた多くの取り組みの成果であると考えております。

 現在、そして将来にわたって、本区が活気とにぎわいのある街として、より一層成長していくためには、これからもこうした取り組みを積極的に推進し、また、あらゆる機会を捉え、区の魅力を区の内外に発信していくべきであると思います。

 さて、こうした区の魅力を高める取り組みの一つとして、現在、区では駅周辺でのまちづくり、拠点整備を積極的に進めております。

 例えば、区北部地域の拠点の一つである金町駅周辺地域においては、南口地区の再開発事業や北口地区のまちづくり、さらに新宿六丁目地区の開発、また、区の南部地域では、新小岩駅周辺の回遊性を高めるため、南北を結ぶ自由通路の整備など、区内の主要駅を中心とした地域で、さまざまな事業が行われております。今後、より一層、本区の活力とにぎわいを高め、また、暮らしやすい街をつくり上げていくためには、広域的な利便性も考慮しながら、こうした地域ごとの拠点開発を積極的に推進し、にぎわいを高めるとともに、都市機能を集積させたコンパクトな市街地、一定の生活圏域で買い物などが済んでしまう、そういった市街地の形成を図っていく必要があります。さらに、少子高齢社会の進展など、今後の社会状況や、環境負荷の低減、また都市の経営といった観点から見ても、無秩序な市街地の拡大を抑え、区内の地域拠点を計画的に整備していくことは、非常に重要な施策であると言えます。そして、これと同時に、区全域にわたって地域の拠点を整備していく上で、それぞれの拠点が、相互に緊密に結ばれていることが必要となってきます。

 こうした観点から、地域と地域を結ぶ交通網の整備は、まちづくりにとって不可欠な取り組みであり、便利な交通網の整備によって、拠点間の移動性が高まり、区全体の発展にもつながってきます。

 交通インフラの整備やサービス水準の高い公共交通を、区としても積極的に計画し、関係する事業者とともに実現していくこと、そのために、あらゆる交通施策を推進していくことが求められています。

 例えば、誰もが快適にご利用いただける、人に優しい公共交通、環境に配慮した公共交通など、多くのことが求められることと思いますが、それらの大前提として、まずは、移動しやすい公共交通網の構築が不可欠となってきます。また、すぐれた公共交通網の構築は、いろいろな面で波及的な効果をもたらします。例えば、自動車での移動が抑制され、渋滞の緩和や環境汚染の低減といった効果が期待できるとともに、駅周辺の拠点地域へ、多くの人が集まるといったことにもつながってくると思います。このように、公共交通施策の成否が、市街地の活性化や、将来の持続できるまちづくりに大きくかかわってくるといっても過言ではないと思います。

 一方、本区でも、これまで交通網の整備、バス、鉄道といった公共交通の利便性向上に積極的に取り組んでおります。その結果、例えば、バス路線は区内全域で、現在50以上の路線が走っており、通勤・通学など、生活のさまざまな場面でご利用いただいております。

 しかしながら、このように以前に比べて便利になった一方で、「バス路線をさらに拡充してほしい」といった声や、「電車をもっと便利に利用したい」といった声は、むしろこれまで以上に高まっているのではないかと感じています。

 こういった声に応え、本区の公共交通を、今後、より一層利用しやすいものにしていく、さらに、将来のニーズをあらかじめ予測し、それに先んじて的確な交通施策を展開する、そして理想となる公共交通の姿を明確にしていく、こういったことが、これからの本区にとって、ぜひとも必要なことであると考えます。

 今現在、都心回帰、都市部への人口集中といった傾向が続いておりますが、この傾向が今後も続いていくとは限りませんし、状況を楽観的に捉えていては手おくれになることも十分に考えられます。未来の葛飾区を見据え、今から公共交通についての幅広い検討を行い、まちづくりの進捗に合わせた戦略的な取り組みを実施していただきたいと思います。

 先ごろ、本区の次年度予算に関連して、新金貨物線の旅客化検討といった報道がありました。この報道の後、区民の皆様、また地域の声をお伺いする中で、やはり、鉄道、バスといった公共交通に対する区民の皆様の期待は、非常に高いものがある、と強く感じるとともに、こうした報道をきっかけに、本区の公共交通に対するさまざまな関心も、より一層高まっていると考えます。

 公共交通に注目が集まっている今、この状況だからこそ、いろいろな角度から、多くのご意見がいただけるものと考えます。報道でも取り上げられた、区を南北に縦断する新金貨物線の活用を含め、バス、鉄道、公共交通に対する区民の皆様のさまざまな声、ご要望を踏まえ、区として取り組んでいただきたいと思います。

 そして、今後の葛飾区にとって、とりわけ重要な施策である公共交通、これを進めていく上では、バス、鉄道に関する短期的な取り組みから中長期的な取り組みまで、あらゆる視点から十分な検討を行っていただき、区民の皆様の期待に応えていただきたいと願っています。

 そこでお伺いします。

 1、現在本区では、駅周辺のまちづくり、地域の拠点としてのまちづくりを推進しています。こうしたまちづくりと、バス、鉄道などの公共交通のあり方について、区の見解をお示しください。

 2、本区の公共交通における課題は何か、また、その課題を踏まえ、今後に向けて、どのような取り組みを進めていくのか、区としての考えをお示しください。

 最後に、観光施策の今後の展開について伺います。

 観光振興については、昨年の第1回定例会でも同様の質問をいたしましたが、その際に、平成27年の訪日外国人観光客数は、前年度比47.1%増の1,973万7,400人で、東京オリンピック・パラリンピックが開かれる2020年に訪日外国人2,000万人としている政府の目標が目前に迫っているという状況を申し上げました。しかしながら、平成28年の訪日外国人旅行者の数はさらに増加し、昨年の10月時点で2,000万人を突破し、年間で2,403万9,000人を記録したとのことであります。大手旅行会社の予測によると、その伸び率はやや鈍化するものの、平成29年には、過去最高の2,700万人を突破するとの見通しを発表しております。また、国土交通省から訪日外国人による消費額も発表されており、前年比7.8%増の3兆7,476億円で、これも過去最高を記録したとのことであります。引き続き、我が国の経済面への貢献が見てとれる統計データであります。

 一方、日本人の国内旅行者の動向についても、平成27年の延べ旅行者数、国内旅行消費額、1人1回当たりの旅行単価、いずれも前年より増加しており、観光施策を推進する上で、期待の高い数値となっているところであります。

 青木区長は、平成29年度の当初予算編成における重要施策、重点事業において、葛飾区総合戦略に掲げた、利便性の高いまちづくり、子育て支援の充実、さらに観光振興を初めとする地域活性化対策の3つの柱を掲げております。

 国内外の観光客を取り巻く状況を考慮し、これらの観光客を我が国に呼び込むための施策が求められていると考えております。こうした中で、柴又地域においては、葛飾柴又の文化的景観指定への取り組みが進んでおり、さきの区長の所信表明にもありましたとおり、風景の国宝に葛飾柴又が指定される予定であります。

 これまでも本区の観光地の象徴とも言うべき柴又の取り組みについては、寅さん記念館、山本亭、山田洋次ミュージアム、寅さんサミットなど、区が主催する事業だけでなく、地域の皆様のご努力によって、大変多くの国内外の観光客が訪れていることは言うまでもありません。この状況に加え、柴又にもう一つ、大きな資源としての重要文化的景観が加わることに大きく期待をしているところであります。

 この取り組みは、平成22年度から、重要文化的景観の指定の準備を進め、今般の保全計画の策定、都市計画上の手続を経て、国に指定の申請をするに至ったとのことであります。これらの手続に相応の時間がかかることは十分承知しておりますが、私は、この重要文化的景観の指定以降のこの価値の周知とこれに伴う観光施策の展開に大きく期待をしております。これから、地域の皆様のご努力によって、保存されていくであろう柴又の景観をどのように周知し、売り込み、これまで以上の観光客に訪れていただくか、その戦略が重要であると考えています。

 近年、観光客の動向を示す言葉の一つにビジュアルコミュニケーションという言葉が用いられていると伺いました。これは、視覚による情報伝達ということのようですが、とりわけ、インスタグラムに代表されるように写真を用いたコミュニケーションツールが人気を博しており、こういった視覚的な情報が、観光地としての価値を高めることがあるということであります。これまで観光地として全く無名であった地域が、ある日突然、観光地として取り上げられ、国内外の多くの観光客が訪れることも少なくないとのことであります。柴又は、これまでも観光地として周知されてきた地域でありますので、こうした例とは違うと思いますが、ぜひ、風景の国宝の指定を契機として、より多くの方々に興味を持ってもらう地域となるよう、さらなる観光施策の展開を求めるものであります。

 また、柴又地域においては、旧職員寮を活用した宿泊施設「SHIBAMATA FU−TEN」が間もなく開設されます。さらに、長らく活用されていなかった区有地を活用した相撲部屋についても、年内に開設されると伺っております。これらの貴重な資源を有効に活用し、柴又地域、ひいては葛飾区全体の活性化に向けた取り組みを加速させることを期待しております。

 「SHIBAMATA FU−TEN」はその主なターゲットを外国人としているようであります。昨今の外国人観光客には、日本文化の体験型のツアーが人気とのことであります。また、相撲部屋の朝稽古の見学なども好評であると伺っております。どちらもこういった取り組みを進めるには、絶好の資源であります。柴又に宿泊していただいた外国人に、柴又帝釈天参道でのだんごづくりの体験もできるでしょう。銭湯の入浴体験も可能であると考えます。ぜひ、宿泊事業者、地域の方々、旅行会社とも協働して、これらの資源を活用した観光施策の展開を要望するものであります。

 さて、観光施策の展開としては、平成29年度当初予算案に、おいでよ亀有、ライティング・コラボレーションかなまち、新小岩地域におけるモンチッチの活用、キャプテン翼銅像の設置など、ゆかりのキャラクターを生かした観光資源づくりなどが盛り込まれております。多くの観光資源を創出し、その魅力を発信して多くの方々に葛飾区に来ていただく、これが観光施策の基本であります。観光資源としての魅力を持たせることで、リピーターとなって、また葛飾区に来ていただけるようにしなければなりません。イベントもマンネリ化していては効果が半減することにもなりかねません。こういった意味では、去る2月11日に、おいでよ亀有ウインターフェスティバルが開催され、駅周辺のイルミネーションに加え、新たなイベントとしてその魅力が一つ加わったことは大きな成果であり、おいでよ亀有実行委員会の皆さんのご努力に敬意を表するものであります。

 このフェスティバルで地元の皆さんの考案による亀有千人鍋が振る舞われました。葛飾産の野菜をふんだんに使用し、亀の形に調理したタケノコが入った鍋であります。開始からあっという間に売り切れるほど盛況で、私はこの取り組みを大変高く評価するとともに、亀有のご当地グルメとしてさらに発展していく可能性に大きく期待をしております。

 全国各地にさまざまなご当地グルメがありますが、今回のイベントを契機に、亀有地区の多くの店舗で亀有千人鍋が提供されるようになると、新たな観光資源にもなってくると考えております。地元の実行委員会の有志による考案とのことですので、ぜひ、この取り組みが新たな観光資源として発展するよう、区の全面的な支援を要望するものであります。

 また、各地で開催される観光資源としてのイベントも常に新しい取り組みを付加し、その魅力を向上させていくことを期待するものであります。また、観光客の動向をしっかりと把握し、その取り組みを充実させることも必要であります。観光と一言に言っても、その目的、形態はさまざまであります。ある程度、事前に計画を立て、目的を持って各地を訪れる場合もあれば、外国人観光客に見られるように、観光する場所は現地で決めるという旅行者もふえているとのことであります。こうした旅行者の意向に合わせた対策も大変重要であります。

 亀有地区においては、こち亀の影響もあり、台湾からの観光客が大変ふえております。こうした方々に区の魅力を周知するためにも、柴又の観光案内機能の充実とともに、他の地域における観光案内機能の充実を求めるものであります。  そこで、お尋ねいたします。

 1、風景の国宝とも言われる重要文化的景観に柴又地域が選定されることは、観光の観点からも柴又地区のみならず葛飾区にとってもその意義は大きなものだと考えられます。葛飾柴又の文化的景観の選定以降、この価値をどのように活用していくのか、区の考えをお示しください。

 2、公共施設、公共用地を活用して、宿泊施設「SHIBAMATA FU−TEN」、また、年内には相撲部屋も開設される予定ですが、これらの貴重な資源をどのように活用して、観光振興を図っていくのか、区の見解をお示しください。

 3、おいでよ亀有のイベントとしてウインターフェスティバルが開催されました。そこで地元の実行委員会の企画による亀有千人鍋が振る舞われましたが、今後この亀有千人鍋がご当地グルメとして発展していくことで、新たな観光資源になり得ると期待していますが、このような取り組みを区としてどのように支援していくのか、区の見解をお示しください。

 4、多くの観光客が葛飾区に訪れています。観光案内所は柴又にあるだけだと思いますが、今後、外国人に対する多言語での観光案内も含めて、柴又の観光案内所の充実とともに、他の地域における観光案内機能の充実も必要だと考えますが、区としてどのように考えているのか、見解をお示しください。

 以上で自由民主党議員団の代表質問を終了いたします。ご清聴ありがとうございました。(拍手)